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クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識

2008年11月21日 23:59

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)
(2002/05)
西尾 維新take

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総評/8.0

戯言シリーズ第2弾。
舞台は京都に。

戯言シリーズ最高傑作?との呼び声が高いようですが、どうなんでしょうか?何だか人気があるようです。
まぁ、私はこの後の作品に触れているわけではないので、このあたりの判断は下せないのですが、今回も前作並のクオリティがあったと思います。

さて、今回も「事件」が起こるのですが・・・ミステリ要素はかなり失くなりました。
ミステリにうるさい人が読んだら「こんなのミステリじゃねぇ」と言いそうです。
とにかくアンフェア感たっぷりです。重要な部分が誤認させられてますからね。まぁ、こういうところが1人称視点のメリットでありデメリットでもあるんですが。
ミステリにおいてはやはり読み手に解決に至るまでの情報を正しく落とさず描写することが最低条件だと思うのですよ。
前作はその点もクリアしていたのですが、今回はうーん・・・かな。
相変わらず「終章」の展開は衝撃的だったのですが、今回はそのためにミステリ部分を犠牲にしてるのはマイナス要素。
くどいようですが、前作はミステリ部分もきっちりしていたので、この点は残念。

x/yに関する言及はここでは避けます。私はみなさまと違って深い考察が出来るほど読書力が無いので。
ただ、私もネットで解答探しましたwあれは、分かんないよね。
でも、分かっている人もいるからネットで探せば解答があるわけで・・・まぁ、アレが正しいのかどうなのか本当のところは分かんないですけど。
x/yは別に無くても西尾さんの伝えたいこと書きたいことは表現出来たと思うのですがね・・・無理にミステリっぽくしなくても良いのではないかと。

さて、ミステリ部分は失くなった代わりにキャラクターの心情描写には力が入ってたと思います。

いーちゃんと葵井巫女子
いーちゃんと零崎人識

今作はこの2つの関係が大きな見所でしょうね。
特に、いーちゃんのモノローグと葵井巫女子の会話やキャラクター性は読んでいて楽しかったですね。
それだけにあのエンドはなかなか・・・ね。この落差も西尾さんの狙い通りなんだろうなぁ。
でも、零崎人識のキャラクターは個人的には残念だったかな。
単純に会話の内容が難しかったんですよね。零崎の殺人動機のシーンなんて???過ぎて・・・まぁ、私の読解力が無いだけか。
それから、後半は完全に物語の進行、説明役に徹してただけだったのもね。タイトルに出ただけあって確かに重要なキャラではあるんだけど、もう少し出番があっても良かったと思う。

読了して1番気になってるのは宇佐美秋春というキャラクターかな。
貴宮むいみは彼を「えぐい性格」してると評していたけど、彼のそういう部分って描写されてましたっけ?もしかして、いーちゃんの本質を短い期間で見抜いた(もちろん、完全にではないにしろ)ってところかな?
いーちゃんも彼の本質を見誤ってたみたいだしね。葵井巫女子に次いで良いキャラクターでしたかね。

物語の展開が展開だから、もう1度読み返すことで新しい発見や感想が得られるだろう小説でしょうね。
そういう意味では1冊で2度おいしい作品です。

と、まぁ、今作は基本的に前作と比較してて(判断材料がそれしかないというのが私の読書量の少なさを示してるような)、マイナス要素ばかりここで挙げて総評的に下がるか、7.5or8.0のどっちにしようか迷いましたが、最終的には前作と同評価に。
マイナス要素を補うほどに葵井巫女子のキャラクターはかなり魅力的だった。
それ故に、前作のようなミステリ+ライトノベルから除々に完全なライトノベル、キャラクター小説にカテゴリ分け出来るようになっていくんだろうなぁ。

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い

2008年10月31日 01:34

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)
(2002/02)
西尾 維新take

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総評/8.0

「戯言シリーズ」第1弾。
ようやく噂の西尾維新さんに手を付けることが出来ました。

孤島×密室×首切り殺人

と来ると、綾辻行人さんの「十角館の殺人」を思い出してしまった。多分、最近読んだせいだろうけど。
そして、よくよく考えてみると最初の「孤島」くらいしか強い共通点は無いという。
ただ、ミステリ作品において「孤島」という場所はかなりの定番らしく、ミステリ作家ならば誰もが通る道らしい。(私はミステリはあまり読まないので、本当にそうなのかは分かりませんし、西尾維新さんがミステリ作家なのかどうかもまだ分からないのですが)

何と言うか・・・間違いなく私は作者の手のひらの上で踊らされてただろうなという印象。
正直、事件のトリック云々はそんなに難しいものでは無いと思う。「木を隠すなら森の中」という言葉を教えてあげたいほどに、ヒントがかなり分かりやすい。
ただね、事件が解決してもページ数がまだ残ってるのよね。
その数ページが、それまで何百ページと読ませてきた意味であり、作者の狙いどころであり、この作品の醍醐味なんだと思う。
「後日談」における残された謎とその解明―――ここが作者にとっての「木」なんだよね。そして、鴉の濡れ羽島での事件は壮大な「森」。
私はまんまと作者が創りだしたその「森」にそうだと気づかず迷い込んでいたわけです。

>正直、事件のトリック云々はそんなに難しいものでは無いと思う。「木を隠すなら森の中」という言葉を教えてあげたいほどに、ヒントがかなり分かりやすい。

なーんて、感想が出た時点で嵌っているのが分かりますね。滑稽ですよ。

キャラクターも良く出来てる。
その中でもやはり主人公であるいーちゃんと天才・技術屋である久渚友は一際立ってる。
次点で姫菜真姫かな。シリーズものと考えるといずれまた深く関わってきそうな感じですが・・・個人的願望では関わってきてもらえるとありがたい。

文章も個人的には好きですね。
遠回しすぎてくどいとか、論理性が無いとかそういう批判も見られて、それは何となくだけど、理解出来なくもない。
でも、それ以上にこの手の文章に嵌ってしまうんですよね。本当はそういうのはいけないのかもしれないけど。


頭が悪い奴ほど難解な文章にして自分を良く見せようと取り繕おうとする


何かそういうことを聞いたこともある。
けど、物語を書く上ではそういうのもその作品の、その作家の味であって良いのでは、と思います。
もちろん、ストーリーが悪かったらその点はちゃんと批判しますよ。

西尾維新さんの作品はこれが初めてなのですが、どうやらこの作品以降はミステリ要素が薄くなり、完全にキャラクター小説の要素が濃くなって、それにつれて評価が下がってるみたいなのですが・・・どうなんでしょうかね?
この作品はミステリ+ライトノベルといった感じで、極めて区別するのが難しい作品で面白いのに、以降は完全にライトノベルに区別出来るようになっちゃうのかな。(そういうこともあって、結局、この作品も「ライトノベル」と区別してしまいましたが・・・)
と、まぁ、ここまでは私がぶらぶらと徘徊して他人の評価を総合的に見て感じたことなので、本当にそうなのかは自分で確かめてみないとね。
少なくともこの「戯言シリーズ」とはお付き合いしようと思ってます。
その上で、面白ければ、他の作品やシリーズにも手を出していけば良いかな。

にしても。
この本が刊行された時はおそらく西尾さんは21歳で、イラストを手掛けた竹さんは19歳のはず。
この若さでこれだけの装丁と内容の本を創り出せるって単純にすごいと思ってしまう。
もちろん年齢が高ければ良い作品が生み出せる訳では無いし、年齢が低ければ良い作品が生み出せない訳でも無いけど。
うーん、すごいなぁと思っちゃうよ、やっぱ。

夜は短し歩けよ乙女

2008年10月13日 18:23

夜は短し歩けよ乙女夜は短し歩けよ乙女
(2006/11/29)
森見 登美彦

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総評/7.0

装丁が良ければ、内容も良い

と言うのは、私の持論なのですが、それをこの作品には認めたくないという気持ちで読み始めました。
つまりは、巷で話題作で評価が高くてみんなが読んでいる―――そういう作品ほど批判的な目で見てしまうのが私なのです。
が、悔しいことに、この作品は「面白い」と言わざるを得ないかな。こんなの面白くねぇよと強がってみても心の中で面白いと感じている自分がいるんだ。だから、言わざるを得ない。「面白い」と。
どこのレビューでも良いことはだいたい書き尽くされてるので、ここでは書きません。同じようなことを書くことになるのは目に見えてるので。

この人の作品に触れたのは初めてなので、この作品に関してだけで語るならば・・・

まず、この作品に嵌れるかどうかは文章にあるでしょうね。
この作品は先輩と黒髪の乙女の2つの視点で物語が進むのですが・・・
おおよそ現代の大学生が使うとは思えない学者チックと言いますか、研究者チックと言いますか・・・古風で気障ったらしい感のある先輩の語り口調。
黒髪の乙女の方はそれこそ乙女らしい感なので、まだ大丈夫でしょうが、基本的には前者のような風の文章なので、それに対応出来るかでしょうね。
私はむしろこういう風なのは好きなので、何の問題も無かったのですが、それでも大学生がこの語り口調かよ・・・とは思いましたね。
でも、それがこの作品の1つの味でしょうね。だから、この点に関しては良いです。
しかし、「読者諸賢」などと読者を想定しての文章は止めて欲しかったな。そういうのはその作品内の流れを壊してる感があって個人的には好かないんですよね。

それと、もう1つのこの作品の特徴と言えば、現実と非現実を上手く混ぜ合わせてることかな。
まぁ、こういうのはどの作品でも小説なわけですし、そういう要素はあるだろうし、あっても良いのですが、この作品には非現実の部分が少し強すぎるかな。まぁ、この部分もこの人の作品の特徴なのかもしれません。
なんて言うんだろうなぁ・・・「ありえなさすぎる」という表現は良くないな・・・「突飛すぎる」という表現が合ってるか。あぁ、でも、想像出来ないってわけじゃないんだけど・・・うーん、難しいなぁ。
作品中で、


「所詮は夢だろ」と水を差す野暮な人は犬に喰われるがよい。


という表現があるが、それで片付けるにはよろしくないような気がする。
この「非現実」を楽しめるかどうかもこの作品の好みに関わってくるんではないでしょうか?
表題作になっている1章と4章後半はその色合いが強く個人的にはここだけ偉く他と比べてクオリティが低く見えた。
2章と3章は文句なく面白いと言えるんですがね。こちらも「非現実」の色合いは強いですが、結局は用意された材料が私の好みに合ったかどうかの問題でしょうね。こういう風に好き嫌いが出来たのは。



しかし、改めて「装丁」というものは大切な要素の1つであるなぁと思った。
確かに内容も話題になるだけのものではあるんだけど、その内容に伴った合った装丁でなかったら話題にはならなかったとも思う。やはり、何も知らない私たちが最初に目に触れるのはこの装丁であるわけだし。装丁が良いから手に触れるわけだし。少なくとも私はそうです。だから、先の持論に至るわけです。



まぁ、いろいろ書きましたが、他人におすすめしても問題のない良い作品だと私も思いますよ。



にしても、黒髪の乙女はCV.能登麻美子がぴったりのキャラクターだな。
アニメ化は無いようだけど、舞台はあるようで。気が向いて覚えててお金があったら観てみたい。しかし、何故に舞台?

司書とハサミと短い鉛筆

2008年08月29日 19:01

司書とハサミと短い鉛筆 (電撃文庫 ゆ 1-18)司書とハサミと短い鉛筆 (電撃文庫 ゆ 1-18)
(2008/07/10)
ゆうき りん

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総評/5.5

どうしても同時期に発売された、そして、同じくトモセシュンサクさんが挿絵担当されてるということで上栖綴人さんの「彼女は眼鏡HOLIC」と比較してしまいますね。(8/28「彼女は眼鏡HOLIC」感想)
あまり良い感想は書けそうにないので、今回取り上げるのはどうしようかとも思いましたが、やはり比較対象としてでも書いてみようと思います。

比較対象という言葉の意味は、実はジャンルが全く彼女は眼鏡HOLICと同じだから。
ただ、あちらと比べてこちらの作品がこういう評価になるのはやはり著者の腕の違いでしょうね。
あまり変わらないページ数なのにストーリー、文章、構成、キャラの見せ方とほとんどが劣ってるように見えてしまう。
大きな減点要因は2つ。
1つは、ページ数使っている割には展開が遅く感じられたこと。
もう1つは主人公である江本文彦(の能力も含め)があまり好きになれなかったこと。
後者が結構大きいもので、どこか物事を達観した感じなのが好きになれず。
また、江本の持つ「走馬灯」という能力の必要性も感じられず、これを使う辺りが文章含めなんか嫌だったんですよね・・・。
フィフの設定や本に書いたものが飛び出してそれが武器となったり・・・といった設定も上手く使い切れてない感もある・・・ような気がする。

プラスだったのは雲木詠の存在。彼女は良いキャラクターだけに最初の方でしか出番が無かったのも残念。もっと彼女と江本のやり取りが見たかったな。

こちらも続編ある模様。トモセさんの絵と雲木さん見たさに買うとは思いますが・・・。

彼女は眼鏡HOLIC

2008年08月28日 20:35

彼女は眼鏡HOLIC (HJ文庫 う 1-1-1)彼女は眼鏡HOLIC (HJ文庫 う 1-1-1)
(2008/07/01)
上栖 綴人

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総評/6.5

内容は至って王道。
裏の世界で生きる少女が表の世界の普通の女の子と友達になって大切なことを学んでいく。
その背景にあるのが今作のテーマである「眼鏡」。
この「眼鏡」というツールで事件を作ったり、大切なことを訴えたり・・・と起承転結を構成しているわけです。

最初はなんとなく学園ラブコメディなのかなぁとか勝手に思ってましたが、れっきとしたファンタジーです。
ファンタジーなれば、当然バトル。バトルもちゃんとあります。
バトルシーンは「眼鏡」と「コンタクト」に付随している能力を駆使して行われます。能力自体はまぁ、ありがちなのですが、私は王道が大好きなので、むしろ個人的には歓迎。無問題。
ただ、主人公の深鏡めめこの能力があまりにも都合が良すぎるのが難点。
バトルシーンに限らず、著者は作品を書いてて問題点が発生すると全てめめこの「眼鏡」の能力に頼って解決させているのが残念。

それ以外はほぼ満足の出来。
文章はややクサイところもあるかもしれないが、ファンタジーだからという理由で片付けてもいいと思う。ライトノベルらしくというかシンプルに読者に伝わる言葉と文章になってるし、長ったらしい文章がそんなに無いから読んでても疲れない。
キャラクターもちゃんと肉付けがしっかりしててどのキャラクターも良いキャラクターになってます。そこにトモセさんの綺麗な絵があるわけですから、嫌でも好きになります。
個人的に上手く出来てる感があるのは物語の流れ。ファンタジーの肝とも言えるかもしれませんね。部分部分できっちり分けられたそれぞれのお話があって、それが1つの章を構成し、それらの章が集まって1つの大きな作品になる。当たり前なんだけど、それが綺麗に出来てると思う。

私は表紙も含めとにかく「綺麗な」作品を好むので、正にこの作品は良い作品。
まぁ、ここまであれこれ書きましたが、ちゃっちゃっとまとめると、

正統派ファンタジーが好きな方なら普通に楽しめる作品

だと思います。
続編が早くも10月には出るみたいなので、楽しみです。

あ、後、トモセさんのかわいらしい挿絵がかなりふんだんにあります。普通の本には多分こんなに多く挿絵はないだろってくらいに。トモセさん、グッジョブです。


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