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UN-GO op.5~幻の像~

2011年11月27日 19:21

命の価値が描かれる第5回。
どれだけ美辞麗句で己を飾り立てても、その本性までは隠せない。

・命の価値は

<あらすじ>
島田白朗から招待を受け、自身の記念会館に飾られる三英雄のブロンズ像の公開記念式典に現れた新十郎、因果、風守。しかし、そのブロンズ像からは血液が流れ出て…彫像の空間から二人の死体が出てきてしまう。


<感想>
今回はこれまでとは違うものにしようという製作側の工夫が見られる回だったと思います。

今日も今日とて探偵のいるところに事件ありと言わんばかりに、「敗戦探偵」結城新十郎の前に死体が転がるわけですが、今回は初めて新十郎がミスを犯しますね。これまでは何だかんだと優位に立ってきていた新十郎ですが、自身のウィークポイントが曝け出され、人に突かれるというのはなかなか珍しい光景でした。

新十郎は他人の為に命を捨てることに否定的で、白朗がやっていること―――死んだ人間を英雄化する―――にも否定的です。
これは1話の新十郎が敦子の罪を暴いたことにも関わってくるところでしょうね。敦子の中で英雄だった信実を殺すことで、その神格性を高めようとした彼女の行為、美しい結末を新十郎は真実を暴くことで見事に汚してみせました。
今回もそういった自らの信念に基づいて白朗を堕とそうとしたのですが、逆に白朗に言いくるめられてしまいます。

新十郎は何も言い返せなかった自分に苛立ちを覚えるのですが、そのストレスの本当の源泉が見つかりません。彼は自分は他人の為に命を捨てるなどという大層な人間ではないと言うのですが、風守は、新十郎も因果に人を殺させないように自分が他人の真実を暴きたてることで人の御霊を引き出し因果にそれを与えようとすることは、因果の為に、そして、因果の犠牲者になるかもしれない誰かを守る為に、自らが因果に殺されてしまうかもしれないというリスクを背負っていること―――それは、他人の為に命をかけていることと同義なのではないか、と説きます。

新十郎がその答えに納得したかは定かではありませんが、風守の言うことが正しいのなら(というより、新十郎は風守が「正しいことしか言わない」と知っているのだから、それを認めざるを得ないんですよねwでも、それを認めたがらないのは、自分のことだからでしょう)、他人の為に命を捨てることもある「かもしれない」―――それでも美しいのは、「生きている人間ではなく、死んでしまった人間」なのだと、白朗の行いをも見事に暴いてみせました。



また、風守の言葉は事件の解決の一助にもなりました。

今回のエピソードは「金塊」をめぐる話だったわけですが、構図として、その金塊をめぐって不正を暴こうとする山本たちと自分を守ろうとした白朗という二つに分かれます。
先にも書いたように、誰かの為に命を捨てることはありえないと考える新十郎は白朗が犯人だと決めつけていたのですが、その線がなくなってしまったことで出口の見えないスパイラルに陥ってしまいます。

今回の新十郎はこの「誰かの為に命を捨てられるか?」という部分に固執していました。
風守の言葉は、新十郎に他人の為に命を捨てることもある「かもしれない」という考えに至らすことになるのですが、この「かもしれない」というのが、案外に大切なもので、つまりは、「そうじゃない」こともあるという風に考えることもできるのです。

立ち返って見てみると、こちらも新十郎の考えていた通り、白朗と同様、自分の私利私欲の為に引き起こされた事件だったんですよね。
これまでの犯人は複雑な背景を抱えた者ばかりでしたが、今回の犯人は「金塊が欲しい」という至極単純な動機に基づいたものでした。そこに政治的事柄が絡んでいたばかりに実体が分かりにくくなって、新十郎も視野狭窄になってしまったのですね。梨江の「美人に騙されるなんて…ホント、ダメな探偵」は中々に皮肉と洒落の効いた台詞ですねw
前者と後者、どちらが厄介なのかなぁと考えれば、実は、後者の方が厄介なのかもしれません。動機というのは意外にもシンプルなほど、効果は強く、見えにくいものだと思います。



結局、両者共に誰かの為に命を捨てるわけもなく、自分の私利私欲の為に罪を犯していたので、新十郎の思惑通りで、新十郎に何か影響はあったの?という意見もあり得そうなのですが、「かもしれない」という選択肢ができたことが彼にとっての変化のポイントなのだと思います。

毎回、「戦争」と「新十郎と因果の関わり」についての描写が小出しされていますが、今回の「新十郎の命の価値観の提示と変化」も物語の、ひいては、新十郎が前に歩き出す為の核心に大切なことなのでしょう。



しかし、今回は工夫も見られた反面、粗も目立ったなぁとも思います。

そもそも、白朗が本当に金塊を持ってなかったらどうするつもりだったんだよw今回においては、半ば新十郎の「私情」と言ってもいいかもしれませんwまぁ、最終的には、白朗の不正を暴くのでいいのですが、そうでなかったら、とんでもない言いがかりとも八つ当たりとも言えるw
三英雄の出来事の本当の真実は闇に葬られたままになりましたが、最後まで新十郎はほぼ間違いなくあれは白朗が企図したスタンドプレーだと思っていたでしょう。でも、白朗の言う通り、あの三英雄は誰かの為に命を捨てたという可能性も全くゼロではありません。
もちろんそれと金塊の話は別物ではあるのですが、新十郎が白朗を疑っている根拠はここが起因しているようにしか見えません。まぁ、早い話が、新十郎が白朗を疑う根拠が弱過ぎるような気がするんですよね。あくまで、「可能性」を拠り所にしているので危ない橋を渡っていることこの上ないですw

他にも、新十郎の靴に血がべったりとかあそこまで気付かなかったのかとかあれはさすがにないんじゃなかろうか。
それから、彫像の中から血液がどろっと流れ出てきましたが、血液凝固は起こらなかったんだろうか。その辺は医学的知識など持ち合わせていない私には何も言えないのですが…。彫像の中は高温だったからかな?



今回のエピソードの底本は「明治開化 安吾捕物帖」の中の「幻の塔」。実は、私の知識のない頭では、原作の話は少し理解できなかった所もあったのですが、「幻」というものがどういうことかは一緒だと思います。ようするに、「灯台もと暗し」というやつですね。

しかし、まぁ、今回はもっと上手く纏めたかったのだけれど、自分の文章構成能力ではここが限界でした。アニメでは、上記の事柄が綺麗に絡めて纏めてあるので、よけいにそれを感じてしまう。

それにしても、梨江お嬢様は可愛いなぁ。「美人に騙されるなんて…ホント、ダメな探偵」という台詞には、文字通り、呆れた感情と、期待に応えてくれて、嬉しい感情とか…多分、それ以外にも色んな感情が内包されていると思うのですが、それを見事に山本希望さんは表現してくださったなぁと思います。いい役者さんですよね。最近の役者さんは、新人の方でも上手い方は多いのですが、絶対的な役者さんはほとんどいないと思っているので…梨江は彼女じゃないとここまで生きてこなかったと言えると思います。あぁ、私も梨江お嬢様に蹴られたいw
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UN-GO op.4~素顔の家~

2011年11月22日 22:47

「虚構」が剥がれ、人の本性が描かれる第4回。
私は「正しい」。故に、法こそが「間違い」だ。

・人と機械の境界線(後編)

<あらすじ>
佐々家で起こった事件は、被害者であった風守が人間ではなかったことが判明し、ますます混迷を極めていた。一体、死んだのは誰なのか?そして、犯人は誰なのか?


<感想>
ということで、後編の今回は「解答編」。

全ての事件の糸は駒守が引いていたというのが今回の解答になるのですが、2話のエピソードの安とは違って、個人的には、彼に情状酌量の余地はないかなと思ってしまいます。いや、決して安が可愛いから大目に見てるんだろとかそんな気持ちじゃありませんよ、ええ(冷汗)。

新情報拡散防止法の真の狙いは、青少年の健全な育成を促す為などではなく、R.A.Iを独占し、軍事利用することにありました。
彼は自分の発明したR.A.Iが殺しの道具にされることを嫌がって、偽装工作をして死んで見せたわけですが、新十郎にその真相が暴かれた時に、その罪を風守に被せようとしたところで、彼も彼が非難していた軍の上層部のお歴々と同類だと分かってしまいます。結局、駒守にとってもR.A.Iは「都合のいい道具」でしかないんです。「人間というのは、誰でも多かれ少なかれ自分にとって美しいものや楽しいものをとことん求める。それを人間相手に発揮したら犯罪さ。だけど、相手はロボットなんだ。それで誰が傷つく?気持ち悪いなんて言うのは自分の欲望を認められない奴の戯言だ」と言うくらいなので、それは明白だと思います。

新十郎は駒守の言葉に一定の理解を示しつつも、そこに決定的な言葉を加えることで彼を断罪します。曰く、「正しいことを、愛する」と。
糸路と木々彦に容疑が向けられた時に、監視カメラの音を立てることで二人の無実を証明しようとした風守ですが、それは風守が「正しいこと」をしようと考えての行動だったのではないかと新十郎は考えるわけです。

そのいわば風守に備わる「人間」の本質が、駒守の罪を証明することになりました。
最後まで駒守は風守が取った行動の理由を理解できないままでしたが、これではどちらが人間か分かりませんね。思うに、人間とは「善悪について考えることができる生き物」のことを指すのかもしれないなぁと思った今回のお話。

駒守たちにとっては、R.A.Iは人間の欲望を満たす「モノ」なのかもしれませんが、新十郎はそういう見方はできない人のようです。風守が「人間」であることを証明しただけでなく、風守のこれからをも心配するのだから、彼もなかなかのお人よしですwどうせなら、光子も気遣ってやってくれwあんな家族の中でどうするんだよ…まぁ、彼女には梨江がついてるか。



今回のエピソードの底本は「明治開化 安吾捕物帖」の中の「万引一家」と「覆面屋敷」の二本でしたが、主軸は「覆面屋敷」の方で、少しだけ「万引一家」の要素を取り入れたという感じです。
相変わらず、「推理物」として観るとダメだとは思いますがねwでも、上手いこと組み合わせたなぁとは思います。
駒守の罪を証明するための拠り所は「風守の証言」しかなく、それだけで彼の罪の立証はおそらくできないと思うのですが、まぁ、ここでは彼を脅す為のアドバンテージができればいいのでしょう。彼が生きていると分かった以上、軍は彼にR.A.Iの研究をさせて、それを軍事転用する―――つまり、国家の利益に復することになるのでしょう。表向きは、今回の事件は「風守の自殺」で片付けられたので、やはり、麟六や検察、警察の都合のいいようにに決着しました。



ちなみに、新十郎が語った「人間は美しいものや楽しいことを愛する。贅沢や豪奢を愛し、成金が大邸宅を造るように優れた科学者が自分の理想を実現するのも、それは、万人の本性であって、業も軽蔑すべきところではない。人間は美しいもの、楽しいこと、贅沢を愛するように、もう一つ…正しいことを、愛する。何なら、『正義』と言っていい。男が美女を愛し、女が贅沢を求め、あらゆる悪いことを欲すると並列に人は正しいことを愛する生き物だ」という言葉は同作家の「デカダン文学論」の一節からですね。もちろん、多少の言葉の変更は加えてありますが。



いやー、しかし、星玄はネタキャラだったのかwこれからもああいう扱いになっちゃうのか。

UN-GO op.3~覆面屋敷~

2011年11月19日 17:52

「虚構」で塗り固められた屋敷で事件が起こる第3回。
私は「法」を破らない。故に、「正しい」。

・人と機械の境界線(前編)

<あらすじ>
「R.A.I」という人工知能の研究者として名を馳せた佐々駒守。七年前の爆発事故で亡くなった彼の命日に、駒守の後継者であった佐々風守が駒守と同じように亡くなってしまう。「呪い」だと疑う一家の中で、ただ一人それを否定する光子であるが、それを根拠づける材料は何もなかった。そして、この事件の解決は例によって海勝の元へと届けられたのだが、梨江は「真実」が曲解されることを嫌がり、「敗戦探偵」結城新十郎に事件の解決を依頼するのだった。


<感想>
今回のエピソードは前後編にわたるということで、まぁ、「問題編」と「解答編」に分かれているということですね。今回は「問題編」です。

今回の事件の発端を辿ってゆくと、「駒守の事件」にまで遡る必要がありそうです。

風守の死が、駒守の命日の日であったことに加え、末路も似たようなものであったことから、屋敷の住人は「呪い」であることを疑うのですが、駒守の事件はどのように処理されたのでしょうね?

ここにまたしても関わってくるのは、前回にも出てきた「新情報拡散防止法」という法律みたいですね。今回はその法律の成立の直接の原因が知れるという上手い構成。そして、また、1話のように人によっては駒守が「英雄」、「悪者」扱いにもされてしまうという構図です。この時の駒守の心中は如何に?というところですが、その辺りも不明のままですね。

最後に、風守が「人間」ではなかったことが判明して、茶目っ気たっぷりにこれまた唐突に今回は終わるのですが、では、風守の事件の時に死んだのは誰なのか?という新たな問いが出てきます。糸路と木々彦は風守の正体を知っていたみたいなので、彼らの口から真実が明かされるのでしょうか?新十郎の冴え渡る名推理は次回に期待、というところで引きです。



今回は前後編の構成なので、余裕があるのか、「戦争の傷跡」というものが窺えますね。
「夜長姫」の戦意高揚の助けもあってか、自衛隊の武力行使も認められ、本格的に国内でも戦争が行われたようでした。その代償として、建物の倒壊など分かりやすい描写がなされていましたね。

そして、その半ば倒壊した建物に住む新十郎の下へ、梨江が訪れるところから今回はスタートするのですが、彼女が馬に乗ってやってきた、というのが面白いところです。

その理由は、新十郎がいた建物の場所が立入禁止区域であり、歩行や車両の進入が禁じられているから、というものなのですが、その後で、彼女は「私は海勝麟六の娘です。法は侵せません」と言います。
ここには、梨江のパーソナルや信念が見て取れるような気がして、見過ごせるポイントではないと思うのですよね。
つまりは、彼女は「自分がどういう存在であるかを表明することで、海勝の名前と父に対して誇りと尊敬を持っている」ということ、さらには、「間違ったことはしない」ということを一種の信念にしていると感じられます。

また、梨江が新十郎に事件の解決の依頼をした理由も見過ごせないのですが、梨江は泉ちゃんに対して「父が何か大きなものの為にまた嘘をつくなら、許しません」と語ります。これはまた先の証明を補強しているとも思います。

何だか婉曲的な表現ばかりになりましたが、まぁ、ようするに、梨江は麟六のことを本当に尊敬しているんですよ。麟六はいつも正しいことをしていて、自分自身もそうでありたいと強く願っている素直な女の子なんです。けれども、新十郎と出会ったことで、麟六の本当の姿を知ってしまった梨江は強いショックを受けるのですが、もし、麟六が間違ったことをしているのなら、もうそんなことはして欲しくないんですよね。だから、新十郎に頼るわけです。梨江が泉ちゃんに先の言葉を言い放った時の凛とした顔と佇まいに彼女の強さが現れていていいですよね。

UN-GO op.2~無情のうた~

2011年11月16日 19:45

もう二度と歌えなくなった少女の絶望が描かれる第2回。
それでも、歌う。空に向かって。声よ、届けと。

・偽りの歌姫

<あらすじ>
投資家の長田久子が殺される事件が発生する。その事件概要を泉から聞かされた麟六は、被害者と愛人関係にあった荒巻敏司を犯人と断定した。久子の娘である長田安はこれに納得できず、独自に新十郎に依頼を出すことにする。新十郎はこの事件の真相を因果と共に調査することになり、この事件には「夜長姫」というあるアイドルグループが関係していることが分かった。



<感想>
今回の「因果日記」、くだらないことなのですが、不覚にも笑ってしまいました。

それはさておき、今回のエピソードの底本は「明治開化 安吾捕物帖」の中の「ああ無情」という話なのですが、事件発生の舞台背景は違うものの、概要や手法はだいたい同じです。原作の新十郎を以てしても、「今まで接した犯罪のうちで、この事件ほど巧妙に組み立てられたものはありませんでした。カラクリは幾重にもはりめぐらされて重点を巧みにそらし、殆どつけいる隙がない如くに完璧な構成を示しております」とまで言わしめるほどの高度な事件だったようですよ。

残念ながら、アニメは「推理」に特化しているわけではない(と私は勝手に思っている)ので、この事件の「美しさ」みたいなものは感じられないですよね。原作では、容疑者一人一人のアリバイを事細かに検証してたりもするので、読んでいて随分と頭を使わされましたw新十郎も犯人の手際には感服させられたみたいです。



ただ、舞台背景としてはアニメの方がなかなか興味が惹かれましたね。

このエピソードでは、歌を奪われた一人の少女が、歌を奪り戻す為に罪を犯します。
彼女の大切な歌を奪ったのが、今回の被害者で、彼女の母親であり、「夜長姫」のプロデューサーであった長田久子なのですが、この事件の裏には麟六や、ひいては、検察や警察も一枚噛んでいたかもしれない、というのが面白いところ。

戦争の直中で、報復テロに対し徹底抗戦を歌い、日本国内を高揚させた「夜長姫」。
戦争に超然と立ち向かい、最前線で反戦の歌を歌う彼女たちの姿は、勇ましく、それはそれは称えられたことでしょう。まるで、「英雄」のように。
しかし、戦争の終結と共に、新情報拡散防止法が制定され、「夜長姫」は不要の存在になっていきます。「英雄」の末路は正に、ただ堕ちてゆくだけ。
久子はそんな哀れな彼女たちを最後まで見捨てずにいたのですが、そんな「英雄」の犠牲になった安にとっては、それすらも許せることではなかったのでしょう。
だからこそ、安は自分の母親である久子を殺し、その罪を「夜長姫」に被せようとしました(安が麟六の的外れな推理に困ったのはこういう理由ですね。そこで、安は新十郎に依頼を持ちかけ、事件の犯人を「夜長姫」であるように推理させたかったという)。

やっと、自分の歌を奪り戻すことができたと思った安ですが、真相は新十郎に暴かれてしまい、さらには、麟六や検察・警察の手によって、安は永遠に監視の対象になってしまいました(この辺りは、「虎山レポート」より)。



彼女はただ歌いたかっただけ。
「歌」という翼をもがれた彼女はこれからの一生をどうやって生きていくのでしょう。



今回の事件の犯人は、犯した罪に見合った罰を受けます。
しかし、彼女は最初から持っていた大切なものを奪われて、それを奪り戻そうとしただけなのです。
確かに、彼女は罪を犯してしまったのですが、それを思うと何だかやるせない気持ちになりませんか?

最後は彼女が空に向かって歌い出すところで終わるのですが、その時の安の想いは誰にも推し量ることはできないでしょう。
彼女は何もかもを失ってでも、それでもやっぱり、「歌うこと」しかできない少女なのでしょう。



全ては麟六の手のひらの上で転がっていた出来事ですが、子供はいつだって大人の都合のいい道具にされてしまいますね。
そんな大人に新十郎は「真実」を暴くことでささやかな反抗をしているのでしょうか。



ちなみに、「夜長姫」は「ああ無情」の中では出てきません。おそらく、同作家の「夜長姫と耳男」という作品から持ってきているのではなかろうかと思うのですが、もちろん、アイドルグループでも何でもありませんwこちらの話は「明治開化 安吾捕物帖」とはまたテイストが異なり、怖いというか恐ろしいというか、そんな話ですね。

UN-GO op.1~舞踏会の殺人~

2011年11月14日 21:32

いつかの偶像を夢見る第1回。
あなたをずっと「英雄」のままにしておきたい。全ては美しいままに…。

・Idol worship

<あらすじ>
加納グループの社長である加納信実は自らにかけられたある嫌疑を晴らす為、自宅にてパーティーを執り行う。そして、いざ、嫌疑を晴らす為の演説を始めようとした時、加納は何者かに殺害されてしまう。はたして、加納を殺したのは誰か―――結城新十郎、海勝麟六―――二人の名探偵の推理が冴え渡る!



<感想>
この段階で4話まで観ているのですが、この作品の本質は、トリックやアリバイの巧妙さに感嘆する―――というような、いわゆる「推理物」としての色彩は薄く、それよりも、新十郎と麟六の対比を通して、「善悪の在処を問う」ということがテーマになっていると思います。もう少し噛み砕いて表現するならば、「真実を暴きたてることが正しいのかどうか」ということを私たちが考えることがこの作品の醍醐味なんだと思います。

麟六は真実を分かっていながら、あえて違う推理をしてみせました。それは、誰にとっても損のしない結末を迎えることになるのですが、はたして、「偽装の上に成り立つ幸福は本当の幸福と呼べるでしょうか?」
新十郎が真実を暴きたてる真意はどこにあるのかは不明ですが、彼が行う推理の結末は麟六とは対照的に誰にとっても必ずしも幸福なものとは言えません。しかし、紛れもない「真実」であり、はたして、「真実を曝け出すことは悪なのか?」

と、まぁ、こんな感じのことがどのエピソードにも根底にはあるのだと思うのですよね。あくまで4話まで観た感じだと。
加えて、ここには「犯人が罪(殺人)を犯すことの正当性」も問われることになり、これも最初に挙げたテーマ――「善悪の在処を問う」―――に直結してきます。つまりは、「罪を犯す(人を殺す)ことが正しいのかどうか」ですね。
よって、事件における私たちの最大の注目ポイントは「トリック」や「アリバイ」以上に「動機」にあるんですよね。Why did you kill the person?



今回の場合、検察や警察に「犯罪者」という汚名を着せられるなら、いっそ「英雄」として―――美しいままで自分の愛する夫を留めておきたかったが故の殺人だった訳ですが…加納は実際に金を着服していたわけじゃないんだから、意味なくない?というツッコミをする人もいる…かな?
ですが、現在の加納は戦争時のような「英雄」扱いはされておらず、私腹を肥やす、いわば、「悪者」扱いされていたという。彼女はそれにも耐えられなかったんでしょうね。だから、検察と警察の陰謀によって殺された「犠牲者」になることでさらに名誉の神格性を高めようとしたのでしょう。



彼女の犯した罪は正しかったのか、間違っていたのか。
正しいのは世界なのか。間違っているのは彼女なのか。



麟六は加納の名誉を守り、全てが「美しい結末」になるように持っていきました(おそらくは敦子の名誉をも守ったと思われる)が、彼がどうしてそのようなことをするのか、その真意もまた現段階では不明ですね。
当然ですが、新十郎の推理が通ってしまうと、加納の「英雄」としての名誉の神格性が失われ、また、敦子自身の立場もどん底にまで堕ちてしまうことでしょう。

ここで、不思議に思うのは、泉ちゃんが「真実」を公表しないことなのですが…うーん、これは想像の範疇になるのですが、加納を失った今となっては敦子まで失うことは、国にとってあまりにも不利益が大きいから、なのでしょうか。

しかし、泉ちゃんは検察の人間なのに、真実を闇に葬っちゃっていいんですかねw彼女もまた「組織」という名の歯車の一つに過ぎないということでしょうか。
アニメでは、梨江をメインに据える代わりに泉ちゃんがサブに降格しちゃってる感じですね。原作では泉ちゃんにあたるキャラクターはメインの一人でバリバリのかませっぷりの推理を発揮してくれて(その役目は泉ちゃんと共に麟六にあたるキャラクターも主には担っていますがw)、それを新十郎が痛快に自らの推理で覆す…という「娯楽推理小説」の要素が強いのですが―――少し話が脱線しました。せっかく、アニメでは泉ちゃんは格好いいキャラクターに仕上がっているので、彼女も活躍してくれるといいですね。星玄もアニメでは滅茶苦茶格好いいですw



麟六の娘である梨江は新十郎の正しい推理よりも麟六の間違った推理が通ってしまうことに疑問を抱くものの、「美しいものは美しいままに」という麟六の考えにも一定の理解を示しますね。私たちに一番近い距離にいるのが梨江であり、新十郎と麟六という二人の名探偵とその推理に触れることで彼女はどんな答えを出すのでしょうか。彼女の今後の動向にも注目すべきところでしょう。
何と言っても、梨江は原作では加納の娘「お梨江」として出てくるだけのこの話だけのスポットキャラクターなので、それをレギュラーに持ってきているのはこれまた一つの大きな違いでしょうね(どうやら、他の話でも出てくるみたいですね。しかし、その出番は名前が出てくる程度なのかな。現在、「ああ無情」を読んだ限りだとそんな感じなのですが)。
新十郎と因果のキャッキャッウフフに彼女が頬を赤らめるのが、また何とも可愛い。



今回のエピソードは、「明治開化 安吾捕物帖」の中の「舞踏会殺人事件」が底本にされてますが、事件発生の舞台背景や設定、手法、結末…ありとあらゆる点でほとんど別物ですw
前述した通り、私がこの話を読んだ限り「明治開化 安吾捕物帖」は「娯楽推理小説」という感じで、アニメほど哲学チックな内容ではなく、純粋に「推理」を楽しむ作品のような気がします。
かと言って、社会的要素が排されているわけではなく、事件発生に至るまでの社会的背景の描写はアニメでは少し詰めの甘いところですね。原作ではこの辺は仔細に描かれています。もちろん、この部分も原作とアニメでは全然違うのですがねw
犯人の結末については、アニメと原作を比べると、なかなか興味深いですね。アニメでは濁してますが、やはり、敦子もあの後は罪に見合った罰を受けるのでしょうか?

残念ながら、私は坂口安吾の人となりや思想について詳しいわけではないので、その辺と作品の関連性については語ることができないので、その点についてはご容赦のほど。


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