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UN-GO op.5~幻の像~

2011年11月27日 19:21

命の価値が描かれる第5回。
どれだけ美辞麗句で己を飾り立てても、その本性までは隠せない。

・命の価値は

<あらすじ>
島田白朗から招待を受け、自身の記念会館に飾られる三英雄のブロンズ像の公開記念式典に現れた新十郎、因果、風守。しかし、そのブロンズ像からは血液が流れ出て…彫像の空間から二人の死体が出てきてしまう。


<感想>
今回はこれまでとは違うものにしようという製作側の工夫が見られる回だったと思います。

今日も今日とて探偵のいるところに事件ありと言わんばかりに、「敗戦探偵」結城新十郎の前に死体が転がるわけですが、今回は初めて新十郎がミスを犯しますね。これまでは何だかんだと優位に立ってきていた新十郎ですが、自身のウィークポイントが曝け出され、人に突かれるというのはなかなか珍しい光景でした。

新十郎は他人の為に命を捨てることに否定的で、白朗がやっていること―――死んだ人間を英雄化する―――にも否定的です。
これは1話の新十郎が敦子の罪を暴いたことにも関わってくるところでしょうね。敦子の中で英雄だった信実を殺すことで、その神格性を高めようとした彼女の行為、美しい結末を新十郎は真実を暴くことで見事に汚してみせました。
今回もそういった自らの信念に基づいて白朗を堕とそうとしたのですが、逆に白朗に言いくるめられてしまいます。

新十郎は何も言い返せなかった自分に苛立ちを覚えるのですが、そのストレスの本当の源泉が見つかりません。彼は自分は他人の為に命を捨てるなどという大層な人間ではないと言うのですが、風守は、新十郎も因果に人を殺させないように自分が他人の真実を暴きたてることで人の御霊を引き出し因果にそれを与えようとすることは、因果の為に、そして、因果の犠牲者になるかもしれない誰かを守る為に、自らが因果に殺されてしまうかもしれないというリスクを背負っていること―――それは、他人の為に命をかけていることと同義なのではないか、と説きます。

新十郎がその答えに納得したかは定かではありませんが、風守の言うことが正しいのなら(というより、新十郎は風守が「正しいことしか言わない」と知っているのだから、それを認めざるを得ないんですよねwでも、それを認めたがらないのは、自分のことだからでしょう)、他人の為に命を捨てることもある「かもしれない」―――それでも美しいのは、「生きている人間ではなく、死んでしまった人間」なのだと、白朗の行いをも見事に暴いてみせました。



また、風守の言葉は事件の解決の一助にもなりました。

今回のエピソードは「金塊」をめぐる話だったわけですが、構図として、その金塊をめぐって不正を暴こうとする山本たちと自分を守ろうとした白朗という二つに分かれます。
先にも書いたように、誰かの為に命を捨てることはありえないと考える新十郎は白朗が犯人だと決めつけていたのですが、その線がなくなってしまったことで出口の見えないスパイラルに陥ってしまいます。

今回の新十郎はこの「誰かの為に命を捨てられるか?」という部分に固執していました。
風守の言葉は、新十郎に他人の為に命を捨てることもある「かもしれない」という考えに至らすことになるのですが、この「かもしれない」というのが、案外に大切なもので、つまりは、「そうじゃない」こともあるという風に考えることもできるのです。

立ち返って見てみると、こちらも新十郎の考えていた通り、白朗と同様、自分の私利私欲の為に引き起こされた事件だったんですよね。
これまでの犯人は複雑な背景を抱えた者ばかりでしたが、今回の犯人は「金塊が欲しい」という至極単純な動機に基づいたものでした。そこに政治的事柄が絡んでいたばかりに実体が分かりにくくなって、新十郎も視野狭窄になってしまったのですね。梨江の「美人に騙されるなんて…ホント、ダメな探偵」は中々に皮肉と洒落の効いた台詞ですねw
前者と後者、どちらが厄介なのかなぁと考えれば、実は、後者の方が厄介なのかもしれません。動機というのは意外にもシンプルなほど、効果は強く、見えにくいものだと思います。



結局、両者共に誰かの為に命を捨てるわけもなく、自分の私利私欲の為に罪を犯していたので、新十郎の思惑通りで、新十郎に何か影響はあったの?という意見もあり得そうなのですが、「かもしれない」という選択肢ができたことが彼にとっての変化のポイントなのだと思います。

毎回、「戦争」と「新十郎と因果の関わり」についての描写が小出しされていますが、今回の「新十郎の命の価値観の提示と変化」も物語の、ひいては、新十郎が前に歩き出す為の核心に大切なことなのでしょう。



しかし、今回は工夫も見られた反面、粗も目立ったなぁとも思います。

そもそも、白朗が本当に金塊を持ってなかったらどうするつもりだったんだよw今回においては、半ば新十郎の「私情」と言ってもいいかもしれませんwまぁ、最終的には、白朗の不正を暴くのでいいのですが、そうでなかったら、とんでもない言いがかりとも八つ当たりとも言えるw
三英雄の出来事の本当の真実は闇に葬られたままになりましたが、最後まで新十郎はほぼ間違いなくあれは白朗が企図したスタンドプレーだと思っていたでしょう。でも、白朗の言う通り、あの三英雄は誰かの為に命を捨てたという可能性も全くゼロではありません。
もちろんそれと金塊の話は別物ではあるのですが、新十郎が白朗を疑っている根拠はここが起因しているようにしか見えません。まぁ、早い話が、新十郎が白朗を疑う根拠が弱過ぎるような気がするんですよね。あくまで、「可能性」を拠り所にしているので危ない橋を渡っていることこの上ないですw

他にも、新十郎の靴に血がべったりとかあそこまで気付かなかったのかとかあれはさすがにないんじゃなかろうか。
それから、彫像の中から血液がどろっと流れ出てきましたが、血液凝固は起こらなかったんだろうか。その辺は医学的知識など持ち合わせていない私には何も言えないのですが…。彫像の中は高温だったからかな?



今回のエピソードの底本は「明治開化 安吾捕物帖」の中の「幻の塔」。実は、私の知識のない頭では、原作の話は少し理解できなかった所もあったのですが、「幻」というものがどういうことかは一緒だと思います。ようするに、「灯台もと暗し」というやつですね。

しかし、まぁ、今回はもっと上手く纏めたかったのだけれど、自分の文章構成能力ではここが限界でした。アニメでは、上記の事柄が綺麗に絡めて纏めてあるので、よけいにそれを感じてしまう。

それにしても、梨江お嬢様は可愛いなぁ。「美人に騙されるなんて…ホント、ダメな探偵」という台詞には、文字通り、呆れた感情と、期待に応えてくれて、嬉しい感情とか…多分、それ以外にも色んな感情が内包されていると思うのですが、それを見事に山本希望さんは表現してくださったなぁと思います。いい役者さんですよね。最近の役者さんは、新人の方でも上手い方は多いのですが、絶対的な役者さんはほとんどいないと思っているので…梨江は彼女じゃないとここまで生きてこなかったと言えると思います。あぁ、私も梨江お嬢様に蹴られたいw
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